建設業許可を維持する為の注意点
建設業許可を取得する為には、一定の要件がありましたが、その要件は許可を取得した後も維持しなければなりません。
許可の要件を満たさなくなった時点で、許可は失効になります。
代替わりに注意!経営業務管理責任者
建設業許可の第一の要件である『経営業務管理責任者』の要件を覚えていますか?
常勤の取締役の中で一人、『経営業務管理責任者』の要件を満たした者を置かなければならない。
『経営業務管理責任者』の要件とは、建設業に関して取締役又は個人事業主の経験が5年(6年)以上必要という要件でした。
多くの中小の建設業者では、社長(代表取締役)が『経営業務管理責任者』になっています。
息子などへの代替りにあたり、社長が『経営業務管理責任者』の交代の手続きをせずに取締役を辞任・退任した場合、その時点で建設業許可は”失効”します。
多くの場合、社長の交代は、会社の財務状態と退職金計上にともなう節税効果も考えて実行されます。
建設業専門の行政書士である私が、税金に関してあまり詳しくないのと同様に、税理士の先生も建設業許可の事までは、なかなかご存じではありません。
建設業者は、社長を交代する前に、必ず『経営業務管理責任者』の交代が必要です。
もちろん、次期社長が『経営業務管理責任者』の要件をクリアしていないと、交代することもできません。
次期社長(息子など)は、早めに取締役にしておいた方がよいです。
専任技術者が退職した場合
建設業許可の第二の要件である『専任技術者』の要件。
従業員である『専任技術者』が退職した場合、交代できる資格者がいる場合は、速やかに『専任技術者の交代』の手続きをし、交代できる資格者がいない場合は、建設業許可の『廃業届』の手続きをしなければなりません。
この『廃業届』は、事業そのものを廃業するのではなく、”建設業許可が必要な業務を廃業する”とお考えください。
つまり建設業許可を返上するという事です。
「許可が無くなるのは困るから黙っていよう・・・」というのはダメです。
『経営管理責任者』と『専任技術者』及び『国家資格者一覧』として申請書類に記載した者は、データとして登録され、国土交通省及び全国の自治体で共有されています。
退職した資格者が、他社に入社し、専任技術者や在籍資格者として名前を出せば、重複者として引っ掛かります。
自主的に『廃業届』を提出すれば、再び許可の要件を満たした時に、直ぐに申請することができますが、万一、役所の方から取り消しされた場合は、当該会社及び当時の取締役は5年間許可を取る事が出来ません。
国家資格があれば、多くの業種の許可を取得することができますが、本業の業種に関しては、例え国家資格がなくても、10年以上の実務経験であっても、代表者が専任技術者になる方法を探ってください。
特定建設業許可の財産要件は更新の時も!
一般建設業許可の財産要件は、新規申請及び初回更新までの業種追加に限られます。
つまり、1回目の更新以後は、500万以上の財産要件は問われません。
一方で、特定建設業許可に関しては、更新の度に財産要件が確認され、財産要件をクリアしていなければ、一般建設業許可に許可替えしなければなりません。
特定建設業許可の財産要件:資本金2000万以上、純資産4000万以上
流動比率75%以上、欠損額が資本金の20%以内